遠く、近く、君を。


なにしてんの、さっさとどっか行ってよ。一人の時間を邪魔しないで。そう思ったけど、まさかそんなこと言えるはずもなくひたすら沈黙を決め込んだ。するとレイは言った。
「なんか、あった?」
いやいや、初対面のあんたに心配されるほどわたしは困ってないんで。
って言えるほどの状況でもないんだ、わたしは。でもレイの優しく静かな声にわたしは思わず口を開いた。
「こうやって川を見てればいつの間にか時間が過ぎて気づいたら何年も経ってた、なんてことがあってほしいなって。」