契約結婚！一発逆転マニュアル♡

自分が一体どんな返答を望んでいるのか、依舞稀自身もよくわかってはいない。

しかし愛は生まれないと思っていたこの結婚から、本物の愛が生まれるのであれば、それは願ってもない話である。

「お前と夫婦になるからには中途半端に夫婦ごっこをするつもりはない。本気で本物の夫婦になるために全力でやるつもりだから、お前もちゃんと俺を見てくれないとな」

本物の夫婦……。

両親がいなくなって家族を失った依舞稀にとって、この言葉がどれほどの影響力を発揮したのか、きっと遥翔にはわからないだろう。

依舞稀は涙が溢れそうになったのだが。

「夫婦がやって当たり前のことはなんでもやるぞ」

「なんでも！？」

遥翔の言葉にひゅっと涙は引っ込んでしまった。

「なんでもだ。夫婦なら一緒に寝るのだって当然の行為だろう？」

「それは……」

確かに生前の両親は仲良く二人で身を寄せ合って眠っていた。

しかしそれをまだ愛情も抱いていないこの男と自分がやるというのか？

いくら考えても、それはまだ早いのではと思う。

「たとえ本物の夫婦になる努力をするにしても、今のところまだ契約結婚である以上、少しハードルが高いと思うんですけど」

「ハードルが高かろうが低かろうが関係ないだろう？俺は愛妻家のスキルを上げるためにも、本物の夫婦を目指すためにも、寝る時は妻を愛でて抱いて寝たいんだ」

そう力説されてしまったら、依舞稀は言葉を失い赤面するしかなかった。