契約結婚！一発逆転マニュアル♡

二人で寝るならクイーンサイズは必要だといったのか。

「ちょっと待ってください」

「またか……」

ウンザリだとでも言いたげに、遥翔は眉を寄せた。

「だってコレ、契約結婚だって言ったじゃないですか。なのに二人で並んで寝る必要があります？」

「俺は愛妻家になるって言っただろ？初めは形だけの結婚で、愛妻家なんて形だけでいいと思ってたんだ」

結婚したという事実と、愛妻家である見た目と雰囲気があればそれでいいと思っていたからだ。

人前で妻を大切にさえしていれば、愛妻家として見てもらえると思っていたし、遥翔自身も完璧に演じることくらいはできる。

今までと何も変わらず、お互いを干渉せず、プライベートには踏み込むことなく、公の場でのみの契約でよかったのだ。

「でもお前は愛のない結婚はできないと言ったじゃないか」

「言いましたよ。だから他の人と契約すればいいと思って」

「俺はお前と契約したかったんだ。いや、お前と結婚したかったんだ。だから俺は本当の意味で愛妻家になろうと思ったんだ」

「副社長……」

これはなんとストレートな愛の表現だろうか。

聞いている方が恥ずかしくなってくるほど、遥翔の気持ちは真っ直ぐに依舞稀に響いてきた。

全てを持っていて、全てを選択できる人が、本気で自分を欲したということなのだろうか。

自分は本気で愛してもらえるのだろうか。

「それは、本当に私と夫婦になりたくて、本気で私を愛してくれるってことなんですか？」

依舞稀は恐る恐る遥翔にそう聞いてみた。

遥翔の返答次第では、まだ引き返せると思ったからだ。