契約結婚!一発逆転マニュアル♡

「そりゃ、ぜひとも高級ソファーのお世話にもなりますけど、自分の部屋にも必要じゃないですか」

「何言ってんだ。自分の部屋にテレビとソファーを置いたら、部屋から出てこなくなる確率が高くなるという統計があるんだぞ」

「それは思春期の子どもに対しての統計だと思いますけど」

「似たようなもんだろ」

「……」

全然違う……。

そう言いかけて、依舞稀はもっと大切なことを思い出した。

「ベッド……」

「なに?」

「私のベッド!どうしたって言いました?」

依舞稀の効き間違いでなかったとするならば、あの愛着あるベッドもここには来れないということではないか。

それが一番困るのだ。

「ベッドも処分してもらうことになってる。ここにあのベッドはいらないからな」

遥翔のことだから、どうせ勝手に高級ベッドでも手配するのだろう。

確かにこれだけの広さがあればどんなベッドでも入りそうだが、ソファーは諦めがつくとしても、依舞稀としては小さくても自分のベッドが一番いいに決まっている。

「新たに用意してもらえるのなら、せめて似たようなベッドでお願いします……」

何をどう言ったところで、依舞稀のベッドの処分が覆ることはないだろう。

そう悟った依舞稀は、がっくりと肩を落としながらも自分の要求だけは何とか伝えた。

が……。

「同じベッドになんてするわけないだろう。そもそもそんな小さなベッドにどうやって二人で寝るっていうんだ。せめてクイーンサイズは必要だろう?」

なんと遥翔は依舞稀の想像の斜め上の発言をしたのだ。