依舞稀自身、この部屋が何畳ほどあるのかはわからなかった。
しかし与えられた部屋一つが、少なくともアパートのリビング6畳の倍以上はあるということに驚いていた。
「この部屋を使っていいんですか?」
「ああ。狭くて悪いが」
「十分広いです……」
この部屋を平気で狭いと言える感覚の持ち主と、今後の人生を共に過ごしていかねばならぬとは。
とてもじゃないが、円満な夫婦関係の図を想像することなどできはしない。
「私の荷物全て置いても、十分くつろげるくらい広いんですけど」
しかしこれなら遥翔と毎日そこまで顔を合わせなくても、なんとか上手くやっていけるのではないだろうか。
そんな淡い期待を抱き、ニンマリとほくそ笑んだ依舞稀だったのだが。
「安心しろ。お前の家にある家電に加え、ソファーとベッドは処分しておくように言ってあるから」
「はあっ!?」
遥翔の言葉によって、そのプランはガラガラと音を立てて見事に崩れ去ってしまった。
「なんで?どうしてそんな勝手なことするんですかっ」
「うちにあるものを、わざわざ持ってくる必要はないだろう?」
「家電はいいとしても、ソファーとベッドはないと困りますっ」
「リビングにデカいソファーがあるだろう。あれで十分だ」
確かに大きなリビングには、依舞稀の持つ合皮とは比べ物にならないくらいに高級で座り心地のよさそうな、光沢のいい黒の革張りのソファーが置いてあった。
しかしそれとこれは話が別ではないだろうか。
しかし与えられた部屋一つが、少なくともアパートのリビング6畳の倍以上はあるということに驚いていた。
「この部屋を使っていいんですか?」
「ああ。狭くて悪いが」
「十分広いです……」
この部屋を平気で狭いと言える感覚の持ち主と、今後の人生を共に過ごしていかねばならぬとは。
とてもじゃないが、円満な夫婦関係の図を想像することなどできはしない。
「私の荷物全て置いても、十分くつろげるくらい広いんですけど」
しかしこれなら遥翔と毎日そこまで顔を合わせなくても、なんとか上手くやっていけるのではないだろうか。
そんな淡い期待を抱き、ニンマリとほくそ笑んだ依舞稀だったのだが。
「安心しろ。お前の家にある家電に加え、ソファーとベッドは処分しておくように言ってあるから」
「はあっ!?」
遥翔の言葉によって、そのプランはガラガラと音を立てて見事に崩れ去ってしまった。
「なんで?どうしてそんな勝手なことするんですかっ」
「うちにあるものを、わざわざ持ってくる必要はないだろう?」
「家電はいいとしても、ソファーとベッドはないと困りますっ」
「リビングにデカいソファーがあるだろう。あれで十分だ」
確かに大きなリビングには、依舞稀の持つ合皮とは比べ物にならないくらいに高級で座り心地のよさそうな、光沢のいい黒の革張りのソファーが置いてあった。
しかしそれとこれは話が別ではないだろうか。

