契約結婚！一発逆転マニュアル♡

副業がバレてから、いつ解雇通告があるのかと怯え、新契約と称して結婚を迫られ、断れば意地になったかのように毎日プロポーズをしに来る始末。

散々押された後の引きに感情を乱されて、思わず婚姻届けにサインまでしてしまった。

その結果、ランボルギーニで拉致されて、高級マンションの一室に今、足を踏み入れてしまった。

更に今日からここで暮らすというじゃないか。

「お家が恋しい……」

そう呟いた依舞稀を横目に。

「残念ながら帰る家はもうないぞ」

遥翔はそう言ってスマホを耳に当てると、早々に依舞稀のアパートの管理会社と引っ越し業者に連絡し、あっという間に手続きを済ませてしまった。

「アパートの違約金とか引っ越し業者の急なねじ込みによる時間外料金とか……。もったいない」

「ここまでしたら諦めもつくだろ」

「そこまでして急がなくても、もう諦めてます」

「恋しがってたくせによく言うな」

依舞稀の手を引いて進んだ先は、依舞稀が住んでいたアパートの間取全部合わせても負ける広いリビングだ。

リビング一面の窓からは景色が一望できる。

高層マンションの上層階という部屋で、周りに景観を遮る建物など何もない。

そのおかげでカーテンさえもない大きな窓だ。

きっと夜になれば一面に美しい夜景が広がることだろう。

「数時間後にはお前の荷物がここに到着する。こっちの部屋を使ったらいい」

遥翔は廊下に戻り、向かって右側の部屋のドアを開け、依舞稀を招いた。