依舞稀でも名前を知っているような黄色の高級外車の前に誘導され、助手席に促された。
乗るのか？
本当に乗っていいのか？
吐き古したパンプスで、一台２～３０００万はするといわれるランボルギーニに。
躊躇している依舞稀の背中を遥翔が押し、なんとか助手席に依舞稀を収めると、遥翔は颯爽と運転席に滑り込みエンジンボタンを押した。
「お前は今日からうちに住むんだ。引っ越し手続きも電話一本で済むように手を回す。何も心配しなくていい」
いや、心配でしかない……。
依舞稀の心臓は、ランボルギーニの大きなエンジン音に負けないほどの音で鳴り響いていた。
情熱的にプロポーズをされ、ついついオーケーしてしまえば、次の瞬間には婚姻届けに記入させられ、あらかじめ用意されていた印鑑で捺印し、さっさと引っ越しの手続きを済まされ自宅に連れ込まれ、明日は婚姻届けの提出。
「ちょっと！いくら何でもいろんなことが早すぎませんかっ？」
「善は急げってことわざがあるだろうが」
「急がば回れってのもあります」
「そのことわざは俺には合わん」
「なにそれ……」
随分と勝手な事を言っているのだが、不思議とそれに慣れてきてしまっているのだから驚きだ。
身勝手さも強引さも、全部ひっくるめて桐ケ谷遥翔なのだろうと思えてしまうのだ。
この先、長い時間をこの遥翔と過ごすことになる。
健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命ある限り、 真心を尽くすことを誓えるだろうか……？
今さらながら、依舞稀は深くて重い溜め息をついた。
乗るのか？
本当に乗っていいのか？
吐き古したパンプスで、一台２～３０００万はするといわれるランボルギーニに。
躊躇している依舞稀の背中を遥翔が押し、なんとか助手席に依舞稀を収めると、遥翔は颯爽と運転席に滑り込みエンジンボタンを押した。
「お前は今日からうちに住むんだ。引っ越し手続きも電話一本で済むように手を回す。何も心配しなくていい」
いや、心配でしかない……。
依舞稀の心臓は、ランボルギーニの大きなエンジン音に負けないほどの音で鳴り響いていた。
情熱的にプロポーズをされ、ついついオーケーしてしまえば、次の瞬間には婚姻届けに記入させられ、あらかじめ用意されていた印鑑で捺印し、さっさと引っ越しの手続きを済まされ自宅に連れ込まれ、明日は婚姻届けの提出。
「ちょっと！いくら何でもいろんなことが早すぎませんかっ？」
「善は急げってことわざがあるだろうが」
「急がば回れってのもあります」
「そのことわざは俺には合わん」
「なにそれ……」
随分と勝手な事を言っているのだが、不思議とそれに慣れてきてしまっているのだから驚きだ。
身勝手さも強引さも、全部ひっくるめて桐ケ谷遥翔なのだろうと思えてしまうのだ。
この先、長い時間をこの遥翔と過ごすことになる。
健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命ある限り、 真心を尽くすことを誓えるだろうか……？
今さらながら、依舞稀は深くて重い溜め息をついた。
