熱烈に懇願されて依舞稀が『はい』と返事をしてしまえば、あれよあれよという間に事を運ばれてしまった。
自分が『はい』と返事をしたことにも気付かぬほど、遥翔のその真っ直ぐで強い瞳に囚われてしまっていたようで、遥翔の八神を呼ぶ声で我に返ったようだ。
とこでどう用意されていたのか、判子をデスクから取り出し依舞稀に手渡した。
確認するとそれはやはり『緒方印』で、いつの間にか署名と捺印をしてしまっていたのだから驚きだ。
「よし。承認欄は八神サイドで埋めておいてくれ。俺は引っ越しの準備を進める」
「かしこまりました。提出はいかがされますか?」
「そうだな。夜間という手もあるが、一生に一度のことだからな。明日の出勤前に二人で出しに行く」
「それがよろしいかと思います。では緒方さんの本日の早退と明日の欠勤は、こちらで申請しておきますのでご安心ください」
口を挟む暇もなく進められていく今後の予定に、依舞稀はついていく事ができなかった。
思わず流されるかのように返事をしてしまっただけだというのに、もういいわけも訂正もできないとこまで話が進んでしまっている。
「そういうわけで、行くぞ」
突然そう言われて腕を引かれたかと思えば、依舞稀は遥翔と共に副社長室を出て、地下駐車場に連れていかれた。
「ちょっと待ってください。どこに行くんですか?」
やっと口を開くと、遥翔は「なにを聞いてたんだ?」と眉を寄せた。
自分が『はい』と返事をしたことにも気付かぬほど、遥翔のその真っ直ぐで強い瞳に囚われてしまっていたようで、遥翔の八神を呼ぶ声で我に返ったようだ。
とこでどう用意されていたのか、判子をデスクから取り出し依舞稀に手渡した。
確認するとそれはやはり『緒方印』で、いつの間にか署名と捺印をしてしまっていたのだから驚きだ。
「よし。承認欄は八神サイドで埋めておいてくれ。俺は引っ越しの準備を進める」
「かしこまりました。提出はいかがされますか?」
「そうだな。夜間という手もあるが、一生に一度のことだからな。明日の出勤前に二人で出しに行く」
「それがよろしいかと思います。では緒方さんの本日の早退と明日の欠勤は、こちらで申請しておきますのでご安心ください」
口を挟む暇もなく進められていく今後の予定に、依舞稀はついていく事ができなかった。
思わず流されるかのように返事をしてしまっただけだというのに、もういいわけも訂正もできないとこまで話が進んでしまっている。
「そういうわけで、行くぞ」
突然そう言われて腕を引かれたかと思えば、依舞稀は遥翔と共に副社長室を出て、地下駐車場に連れていかれた。
「ちょっと待ってください。どこに行くんですか?」
やっと口を開くと、遥翔は「なにを聞いてたんだ?」と眉を寄せた。

