契約結婚!一発逆転マニュアル♡

最終便に飛び乗ることができた遥翔は翌日、出張の疲れを残したままホテルへ出勤した。

留守中に溜まった稟議書や上がってきた企画書などに目を通していると、あっという間に昼になった。

「副社長。待ちに待った時間ですね」

ニヤリと含んだ笑いでそんなことを言われると、さすがにいい気持ちはしない。

しかしこの時間をずっと待っていたことは、否定できない事実だ。

「上から目線で話してはダメですよ。俺がいなくて寂しかっただろ?なんて言葉を吐くヤツがいますけど、あれは二次元でのみ許される言葉です。実際に使うと痛い目見ますから、本当に気を付けてくださいね」

「……わかってる」

自分が一週間も姿を現さなかったら、アイツはどう思うのか。

少しは寂しい、会いたいと思っただろうか。

それを聞いて何が悪いんだ。

そう思って、第一声で聞いてやろうと思っていた遥翔は、八神の言葉で思い切り出鼻をくじかれた。

「大切な言葉、ちゃんと言ってくださいね?それに対しての緒方さんの言葉には、ちゃんと誠心誠意答えるんですよ?」

「緒方は何て言うのか、わかってるなら、最善の答えまで教えておけよ」

八神の中にあるQ&Aを教えてくれればいいものを、彼は決して言葉にしない。

「副社長と違って、そこまで緒方さんと言葉を交わしたわけでもないので、私もわかりかねます。副社長の臨機応変な返答が求められます」

臨機応変に対応できなければ最悪自分が出るしかないのだが、それまでは面白そうなので黙って見ておこう。

そう考えて、八神は遥翔を見送った。