契約結婚!一発逆転マニュアル♡

自分の利益のためにだけに動き行動できるような人ならば、依舞稀の気持ちなど待たずに強引に事を進める手段くらいいくらでもある。

それをせずに何度も断る依舞稀に対し、毎日時間を作ってはこうやって会いに来て説得を続けることこそ、実直な人間であることを表していた。

しかしそれとこれとは話が別である。

「何度も言いますが、私は愛のない結婚はできません。本来結婚は契約でするものではないはずです」

「何言ってんだ。結婚は契約だぞ。婚姻契約があるからこそ、何かあった場合に慰謝料が発生するわけだろう?婚姻に義務と権利がある以上、それは契約だ」

「それは……そうかもしれないですが……」

確かに難しく解釈すれば遥翔の言っていることは正しいのかもしれない。

しかし結婚をそういう角度で捉えたことがない依舞稀にとって、どうしても気持ちの上で了承することなどできはしない。

「お前の求めている愛がどういうものなのか、本当の愛に出会ったことのない俺には正直理解できない。だが、それ以外は全て手に入るんだぞ?お前のために俺も努力する」

「その努力を、愛を育むという形に変えてもらえませんか?お互いの愛が育ったら、改めて結婚という形を……」

「それじゃ遅いからこうなってんだろう」

自分の意見をバッサリと遮られ、依舞稀はグッと言葉を詰まらせた。

「結婚後に愛を育んんでも遅くはないと思うぞ?」

結婚前に恋愛して恋が愛に変わった後に結婚する。

これが正しい順序なはずだ。

結婚して恋愛して恋を愛に変えて生活する……。

「…………」

それができれば、結果は同じなのか?

依舞稀はもう、なにが正しいことなのか判断できなくなりそうな自分が怖くなった。