「……今……なんと?」
「副社長がお呼びです、と申し上げているのですが?」
おずおずと聞き返した依舞稀に向かって、顰めた眉を隠そうともせずに八神はそう言った。
「副社長は大変忙しい方です。ここで時間をかけるのも惜しい。三度も説明したくはないので早く出て来てくださいますか?」
捲し立てる八神に対し、依舞稀はどんどん委縮してしまう。
いきなりもの凄いオーラを出しながら営業企画部に来たかと思うと、いきなり今すぐ出てこいとデスクに詰め寄られてしまった。
綺麗な顔から湧き出る冷ややかさは、恐ろしいにも程がある。
しかも副社長が呼んでいるということは、あの時のホステスが自分だということがバレたことを意味している。
このまま副社長室に行けば、間違いなく断罪が待っていることだろう。
それがわかっているのに快く『わかりました』と言えるわけがないじゃないか。
しかし秘書の八神がここに来て自分を待っているのに逃げる事もできない。
「緒方さん、私は無駄を好みません。言っている意味、分かりますね?」
「……はい」
もう観念するしかないだろう。
依舞稀は書きかけの企画書を保存すると、PCをシャットダウンして立ちあがった。
部署内の皆の視線を感じながら、促されるままに八神の後ろをすごすごと歩いて行く。
あの書きかけの企画書は、もう仕上げる事ができないかもしれない。
今抱えているイベント案件も、手掛けることができないまま終わるかもしれない。
解雇か、規約違反につき懲戒免職処分になるか……。
どっちに転んでもお先真っ暗ではないか。
そんなことを考えていたら、顔面蒼白になり息苦しくなってくる。
八神が副社長室をノックする音が、とても遠くからに聞こえた……。
「副社長がお呼びです、と申し上げているのですが?」
おずおずと聞き返した依舞稀に向かって、顰めた眉を隠そうともせずに八神はそう言った。
「副社長は大変忙しい方です。ここで時間をかけるのも惜しい。三度も説明したくはないので早く出て来てくださいますか?」
捲し立てる八神に対し、依舞稀はどんどん委縮してしまう。
いきなりもの凄いオーラを出しながら営業企画部に来たかと思うと、いきなり今すぐ出てこいとデスクに詰め寄られてしまった。
綺麗な顔から湧き出る冷ややかさは、恐ろしいにも程がある。
しかも副社長が呼んでいるということは、あの時のホステスが自分だということがバレたことを意味している。
このまま副社長室に行けば、間違いなく断罪が待っていることだろう。
それがわかっているのに快く『わかりました』と言えるわけがないじゃないか。
しかし秘書の八神がここに来て自分を待っているのに逃げる事もできない。
「緒方さん、私は無駄を好みません。言っている意味、分かりますね?」
「……はい」
もう観念するしかないだろう。
依舞稀は書きかけの企画書を保存すると、PCをシャットダウンして立ちあがった。
部署内の皆の視線を感じながら、促されるままに八神の後ろをすごすごと歩いて行く。
あの書きかけの企画書は、もう仕上げる事ができないかもしれない。
今抱えているイベント案件も、手掛けることができないまま終わるかもしれない。
解雇か、規約違反につき懲戒免職処分になるか……。
どっちに転んでもお先真っ暗ではないか。
そんなことを考えていたら、顔面蒼白になり息苦しくなってくる。
八神が副社長室をノックする音が、とても遠くからに聞こえた……。

