契約結婚!一発逆転マニュアル♡

新天地での依舞稀の活躍はめまぐるしいものがあった。

自信の行動力はなかったが、発想力はあった依舞稀にとって、企画書の作成やイベントプランニングは、もしかしたら天職だったのではないかと思えるほどだ。

「緒方さんの企画は、読んでいるだけでお客様の笑顔が浮かんでくるよ」

部長からそう言ってもらえることで、依舞稀のモチベーションはかなり上がった。

さらに営業企画では年の近い同僚ともすぐに親しくなる事ができた。

24歳の森友花音(もりともかのん)は依舞稀の一歳年上で、身長は高く細身で、ショートボブのヘアスタイルがとてもよく似合う綺麗な人だった。

仕事にも恋愛にも前向きな花音には『ハンサム』という言葉がぴったりだ。

23歳の橋本璃世(はしもとりせ)は依舞稀と同い年ということもあり、一番気を許せる仲である。

メリハリのあるボディーラインがとても魅力的で、黒髪のロングストレートにナチュラルメイクというギャップがまた可愛らしい女性だ。

三人は常にアイデアを出し合い、時には合同企画を考えたりしながら互いを高め合っていた。

フロントから移動してきた依舞稀にとって、この部署での内緒のダブルワークはとても快適なものだった。

規則正しい生活時間が送れるし、時間に追われて食事を抜くということもない。

このままいけば……と思うけれど、先を見ればこんな生活を五年も続けなくてはならないのかと考えるとぞっとしてしまう。