契約結婚！一発逆転マニュアル♡

副業で得た収入は全て借金の返済に回した。

日勤の日にはクラブへ出勤し、夜勤の時にまとめて睡眠を取るという生活だった。

しかし人間というものは、寝貯めなどできるはずもない。

疲労のピークはすぐにやってきてしまった。

「依舞稀、最近無理してるんじゃないの？」

休憩室で昼食を食べていると、瞳が同じテーブルにやってきてすぐに依舞稀に声を掛けた。

「え……そう見える？」

「見えるよ。メイクで隠してるつもりだろうけど、私の目は誤魔化せないんだからね」

心配そうな顔をして、瞳は依舞稀を見つめた。

それも無理はない。

入社して５ヶ月、クラブ勤めをして３ヵ月だ。

体重は４キロも落ち、目の下にできたクマはコンシーラーで隠している。

疲労と寝不足で風貌が変わってしまったのだろう。

しかし社員の皆は、両親をあのような形で亡くしてしまった依舞稀の心労と捉えていた。

確かにそれも一つの原因ではあったし、今でも悲しみに涙することもある。

しかし自分で選んだ現実がヘビー過ぎて、その日一日を過ごすのに必死だった。

副業を一切認めていないホテルキリガヤにバレてしまっては、全てが終わってしまう。

依舞稀は細心の注意を払い、誰にも内緒で副業を続けているのだ。

「心配かけてごめんね。今はまだ辛いけど、ちゃんと立ち直るから」

依舞稀は心苦しさでいっぱいになりながらも、瞳に笑顔を向けたのだった。