依舞稀が億単位の借金を背負ってしまうなんて冗談じゃない。
光星は内心焦っていた。
見た目も気立てもいい依舞稀のことを愛しているのは本当のことだが、まさかこんなことになってしまうとは。
腕のいい医者の娘で、なんとか依舞稀と結ばれようものなら、自分の人生も安泰だ。
そう思ったからこそ、光星は薬学部を選択したのだ。
なのに両親を亡くした依舞稀に残ったものは、美貌と多額の借金だけだなんて。
依舞稀には申し訳ないが、自分の人生と依舞稀の美貌を比べた時、どちらの比重があるかなど考えるまでもない。
あれだけ依舞稀を支えると豪語していた光星の中に、依舞稀と共に苦楽を共にするという選択肢は微塵もなかった。
どうせ離れているのだし、考えてみたら依舞稀から俺に連絡してくることなんてそうそうない。
このまま俺が連絡を取らなくなれば、自然に離れるに決まってる。
依舞稀に背を向けた光星は、そんな打算的なことを考え安堵した。
依舞稀に至っては、光星のことをはなから当てになどしてはいない。
光星の薄い愛情など最初から信用してもいなかったし、こんな状況になった今、頼れる男性だとも思っていないのだから。
今回のことを気に自分から離れて言ってくれて構わないと思っていた。
「依舞稀……俺はまだ……」
「光星に何かしてもらおうとは思ってないから安心して」
「いや、そんなことは……」
「いやな言い方してごめんなさい。私は誰にも迷惑かけたくないの。光星には今までたくさん支えてもらったわ。それだけで十分よ。今までありがとう」
光星に向かって微笑むと、表情を取り繕うのを忘れたかのように、あからさまにほっと安堵するのだから笑える男だ。
依舞稀と光星は、こうやってサッパリと終止符を打ったのだった。
光星は内心焦っていた。
見た目も気立てもいい依舞稀のことを愛しているのは本当のことだが、まさかこんなことになってしまうとは。
腕のいい医者の娘で、なんとか依舞稀と結ばれようものなら、自分の人生も安泰だ。
そう思ったからこそ、光星は薬学部を選択したのだ。
なのに両親を亡くした依舞稀に残ったものは、美貌と多額の借金だけだなんて。
依舞稀には申し訳ないが、自分の人生と依舞稀の美貌を比べた時、どちらの比重があるかなど考えるまでもない。
あれだけ依舞稀を支えると豪語していた光星の中に、依舞稀と共に苦楽を共にするという選択肢は微塵もなかった。
どうせ離れているのだし、考えてみたら依舞稀から俺に連絡してくることなんてそうそうない。
このまま俺が連絡を取らなくなれば、自然に離れるに決まってる。
依舞稀に背を向けた光星は、そんな打算的なことを考え安堵した。
依舞稀に至っては、光星のことをはなから当てになどしてはいない。
光星の薄い愛情など最初から信用してもいなかったし、こんな状況になった今、頼れる男性だとも思っていないのだから。
今回のことを気に自分から離れて言ってくれて構わないと思っていた。
「依舞稀……俺はまだ……」
「光星に何かしてもらおうとは思ってないから安心して」
「いや、そんなことは……」
「いやな言い方してごめんなさい。私は誰にも迷惑かけたくないの。光星には今までたくさん支えてもらったわ。それだけで十分よ。今までありがとう」
光星に向かって微笑むと、表情を取り繕うのを忘れたかのように、あからさまにほっと安堵するのだから笑える男だ。
依舞稀と光星は、こうやってサッパリと終止符を打ったのだった。

