一通りの無慈悲な説明を聞いた依舞稀だったが、あまりの現実に頭と心の整理が全くできていない。
自分の将来を考えると、不安と恐怖で寝込んでしまいそうだ。
震える足で弁護士を玄関まで見送ったが、一度も優しい言葉を掛けてくれるどころか、振り返りもしなかった。
両親が築き上げたものを、依舞稀が全て手放さなくてはならなくなるような選択しかできない人生選択をしてしまったことを、弁護士自身も腹ただしく思っているからなのだが、そんな心内は依舞稀にわかるはずはない。
何も考えられずフラフラとリビングに戻り、冷めた紅茶を口にした。
しかし味どころか温度も感じない。
それくらいショックを受けているということなのだろう。
ソファーに背を預け呆然としていると、二階で遺品整理を買って出ていた光星が降りてきた。
光星の視線がテーブルの上に広げられた書類に注がれる。
二億五千万円の負債金など、本来ならば慌てて隠すべき事柄であるが、今の依舞稀にはそんな元気はなかった。
「依舞稀……これ……」
光星の顔色がみるみる変わっていくのが目に見えてわかる。
「これ……依舞稀が返さないといけないのか?」
僅かに震えている光星の声色に、依舞稀は乾いた笑みを浮かべた。
「負債も両親の残したものだもの。仕方がないわ……」
本当は仕方がないなど微塵も思ってはいない。
本当は、どうしてこんな時に大型の医療機器なんて購入したのかと、嘆きたい気持ちでいっぱいだ。
しかしそれを言ったところで状況は何一つ変わらないということもわかっていた。
自分の将来を考えると、不安と恐怖で寝込んでしまいそうだ。
震える足で弁護士を玄関まで見送ったが、一度も優しい言葉を掛けてくれるどころか、振り返りもしなかった。
両親が築き上げたものを、依舞稀が全て手放さなくてはならなくなるような選択しかできない人生選択をしてしまったことを、弁護士自身も腹ただしく思っているからなのだが、そんな心内は依舞稀にわかるはずはない。
何も考えられずフラフラとリビングに戻り、冷めた紅茶を口にした。
しかし味どころか温度も感じない。
それくらいショックを受けているということなのだろう。
ソファーに背を預け呆然としていると、二階で遺品整理を買って出ていた光星が降りてきた。
光星の視線がテーブルの上に広げられた書類に注がれる。
二億五千万円の負債金など、本来ならば慌てて隠すべき事柄であるが、今の依舞稀にはそんな元気はなかった。
「依舞稀……これ……」
光星の顔色がみるみる変わっていくのが目に見えてわかる。
「これ……依舞稀が返さないといけないのか?」
僅かに震えている光星の声色に、依舞稀は乾いた笑みを浮かべた。
「負債も両親の残したものだもの。仕方がないわ……」
本当は仕方がないなど微塵も思ってはいない。
本当は、どうしてこんな時に大型の医療機器なんて購入したのかと、嘆きたい気持ちでいっぱいだ。
しかしそれを言ったところで状況は何一つ変わらないということもわかっていた。

