契約結婚！一発逆転マニュアル♡

なんという大胆さ。

直接攻撃や間接攻撃とは違う、斬新な切り口で追い詰める。

予想だにしなかったことに、彩葉は完全に恐れおののき固まってしまっているではないか。

血の気の引いた真っ青な顔に、完全に引き攣ってしまった表情からは、困惑と恐れしか感じない。

何か言葉を発そうと試みているようだが、パクパクと金魚のように動くだけで、呻き声さえも聞こえなかった。

「君も知ってるだろう？このホテルに浅ましく人を陥れようとする輩が存在するみたいでね。覚えておくといい。そういう人間は……消える」

ニヤリと含んだ笑みを見せた遥翔を、彩葉はもう直視できない。

ギシギシと音が鳴りそうなほど不自然に視線を逸らして俯いた。

「覚えて……おきます……」

まるで消え入るかのように声を絞り出した。

こんな脅しのような権勢をされたのだ。

きっともう二度と依舞稀に何かを仕掛けることはないだろう。

依舞稀が彩葉と初めて接触した時は、彩葉の隣で嘲笑っていた後藤千尋も、真っ青な顔にびっしりと冷や汗を浮かべて完全停止していた。

毒蛇に睨まれた小さなカエル二匹を見ていると、可哀想になって……。

いや、なるわけがない。

ざまあみろっ！

一切の表情を崩すことなく、依舞稀は心の中で思いっきりそう叫んだ。