八神のおかげで我に帰った依舞稀は、ボッと真っ赤になりながら慌てて遥翔の腕から逃れた。
遥翔は大変不服そうであったが、これで全てが終わったわけではない。
浮かれるわけにはいかないのだ。
依舞稀の過去を告白したメールが一斉送信となれば、他の社員の目にも触れているはずである。
依舞稀と辰巳が対峙している間に、八神は自分のスマホから社内システムに侵入し一斉削除をしたのだが、それでも多くの社員が目にしたであろうメールを完全に無かったことにはできない。
「取り敢えず」
そう言って八神はPCを開き、今回のメールは依舞稀への個人的恨みによるもので、上層部は大変遺憾である旨、この件に関しては処理済みの為、他言無用である旨を送信した。
「これでどの程度収まるかは分かりませんが、何の対処もしないよりはマシでしょう」
「ありがとうございます……」
自分の過去を人に知られたからといって、それに気落ちするほどヤワに生きてきていない。
何の不自由もなく人生を謳歌している人間から何も言われたところで、依舞稀の心には刺さらないし傷付かない。
そう、自分のことならば何の問題もないのだ。
「この事で遥翔さんや社長にご迷惑がかかるようなことがあれば、私はどう謝罪すればいいのか……」
自分の全てを知ったうえで手を取ってくれた遥翔や、きっとこちらも全て承知で結婚を了承してくれた遥翔の両親に申し訳がない。
まだ見ぬ夫の両親に早々に迷惑をかけるなんて、嫁として言語道断だ。
自分では取れない責任を押し付けてしまうことにもなりかねないのだから。
遥翔は大変不服そうであったが、これで全てが終わったわけではない。
浮かれるわけにはいかないのだ。
依舞稀の過去を告白したメールが一斉送信となれば、他の社員の目にも触れているはずである。
依舞稀と辰巳が対峙している間に、八神は自分のスマホから社内システムに侵入し一斉削除をしたのだが、それでも多くの社員が目にしたであろうメールを完全に無かったことにはできない。
「取り敢えず」
そう言って八神はPCを開き、今回のメールは依舞稀への個人的恨みによるもので、上層部は大変遺憾である旨、この件に関しては処理済みの為、他言無用である旨を送信した。
「これでどの程度収まるかは分かりませんが、何の対処もしないよりはマシでしょう」
「ありがとうございます……」
自分の過去を人に知られたからといって、それに気落ちするほどヤワに生きてきていない。
何の不自由もなく人生を謳歌している人間から何も言われたところで、依舞稀の心には刺さらないし傷付かない。
そう、自分のことならば何の問題もないのだ。
「この事で遥翔さんや社長にご迷惑がかかるようなことがあれば、私はどう謝罪すればいいのか……」
自分の全てを知ったうえで手を取ってくれた遥翔や、きっとこちらも全て承知で結婚を了承してくれた遥翔の両親に申し訳がない。
まだ見ぬ夫の両親に早々に迷惑をかけるなんて、嫁として言語道断だ。
自分では取れない責任を押し付けてしまうことにもなりかねないのだから。

