膝から力が抜ける感覚というのはこんな感じなのだろうか。
全身にどっと襲ってきた疲労感を堪える事ができず、依舞稀はその場にしゃがみ込んだ。
自分自身、気が弱いわけではない。
大事に守られて生きてきたけれど、自分の気持ちを抑え込こむようなこともなかったし、自分の意見は大切にしてきたつもりだ。
しかし自分を守るために人を攻撃するようなことはなかった。
今回のことも、自分の体裁を取り繕うために辰巳を追い込んだわけではない。
あの男は依舞稀を利用し、遥翔への立場を強固なものにしようとした。
そんなやり方が一番許せなかったのだ。
ふと肩に温もりを感じたかと思うと、依舞稀は遥翔の手によって立ち上がり、その胸に包まれた。
「よくやった。やっぱり依舞稀は完璧だ。俺の最高の妻だ」
そう言いながら依舞稀の背を優しく撫でる遥翔は、心を込めて妻を労った。
強く優しく凛とした妻は、全てにおいて最高の女だ。
「お役に立ててよかったです……」
遥翔にしがみつきながら頬を緩める自分の妻の愛らしさに、ここが副社長室であることも忘れて押し倒したくなってしまった。
グッと体制を倒したところで、「んんっ」と今まで黙っていた八神が、わざとらしく咳払いをして見せた。
確かに依舞稀の功績を最大限の愛情表現で労いたい気持ちは理解できるが、自分の存在を忘れておっぱじめられてしまったら堪らない。
遥翔は恨めしそうな視線を感じた八神は、無表情でそっぽを向き完全にスルーした。
全身にどっと襲ってきた疲労感を堪える事ができず、依舞稀はその場にしゃがみ込んだ。
自分自身、気が弱いわけではない。
大事に守られて生きてきたけれど、自分の気持ちを抑え込こむようなこともなかったし、自分の意見は大切にしてきたつもりだ。
しかし自分を守るために人を攻撃するようなことはなかった。
今回のことも、自分の体裁を取り繕うために辰巳を追い込んだわけではない。
あの男は依舞稀を利用し、遥翔への立場を強固なものにしようとした。
そんなやり方が一番許せなかったのだ。
ふと肩に温もりを感じたかと思うと、依舞稀は遥翔の手によって立ち上がり、その胸に包まれた。
「よくやった。やっぱり依舞稀は完璧だ。俺の最高の妻だ」
そう言いながら依舞稀の背を優しく撫でる遥翔は、心を込めて妻を労った。
強く優しく凛とした妻は、全てにおいて最高の女だ。
「お役に立ててよかったです……」
遥翔にしがみつきながら頬を緩める自分の妻の愛らしさに、ここが副社長室であることも忘れて押し倒したくなってしまった。
グッと体制を倒したところで、「んんっ」と今まで黙っていた八神が、わざとらしく咳払いをして見せた。
確かに依舞稀の功績を最大限の愛情表現で労いたい気持ちは理解できるが、自分の存在を忘れておっぱじめられてしまったら堪らない。
遥翔は恨めしそうな視線を感じた八神は、無表情でそっぽを向き完全にスルーした。

