ロッカールームの扉をノックするが、中からの返答は何もない。
そっと扉を開き中を確認したが、誰も居ないようだった。
「くっそ」
もう出てしまったかもしれない。
依舞稀は慌てて従業員専用の通用口に向かって走り出した。
一階まで下りてきて、もうすぐ出口になるというところで、やっと二人の背中を捕まえた。
「待ってくださいっ!」
依舞稀は大きな声を上げて、二人の進行を妨げた。
ピタリと歩みを止めて振り返ったのは、眼光の鋭い彩葉と、顔色が悪くビクついている千里だった。
彩葉の視線には一瞬だけ怯んだけれど、ここで負けては今後もマウントを取られたままになるだろう。
弱さを見せてはだめだ。
ここで一人で立ち向かい、一人で解決できれば格好いいのだが、依舞稀の中で何かあれば遥翔がついている、という安心感が気を大きく持たせているのかもしれない。
「このまま帰られては困ります。大事なお話させてください」
彩葉の威圧的な視線に圧されないよう、依舞稀はしっかりと視線を合わせて二人に近づいた。
「私達、勤務時間を終えて帰るところなの。またにしてくれない?」
よくもまあ、そんなことを言えたものだ。
「安心してください。時間は取らせませんよ。私が一方的にお話しするだけです。お二人はそれを理解してくださればいいです。反論なんてできないでしょうから」
怒りと緊張がある一定のラインを超えると、どうやら依舞稀は不敵な笑みを浮かべるらしい。
そっと扉を開き中を確認したが、誰も居ないようだった。
「くっそ」
もう出てしまったかもしれない。
依舞稀は慌てて従業員専用の通用口に向かって走り出した。
一階まで下りてきて、もうすぐ出口になるというところで、やっと二人の背中を捕まえた。
「待ってくださいっ!」
依舞稀は大きな声を上げて、二人の進行を妨げた。
ピタリと歩みを止めて振り返ったのは、眼光の鋭い彩葉と、顔色が悪くビクついている千里だった。
彩葉の視線には一瞬だけ怯んだけれど、ここで負けては今後もマウントを取られたままになるだろう。
弱さを見せてはだめだ。
ここで一人で立ち向かい、一人で解決できれば格好いいのだが、依舞稀の中で何かあれば遥翔がついている、という安心感が気を大きく持たせているのかもしれない。
「このまま帰られては困ります。大事なお話させてください」
彩葉の威圧的な視線に圧されないよう、依舞稀はしっかりと視線を合わせて二人に近づいた。
「私達、勤務時間を終えて帰るところなの。またにしてくれない?」
よくもまあ、そんなことを言えたものだ。
「安心してください。時間は取らせませんよ。私が一方的にお話しするだけです。お二人はそれを理解してくださればいいです。反論なんてできないでしょうから」
怒りと緊張がある一定のラインを超えると、どうやら依舞稀は不敵な笑みを浮かべるらしい。

