「〜♪〜〜♫〜♩〜」

バイオリンだ…!

目が見えなくなってから,私の耳は普通の人よりも,音をキャッチするスピードとか,正確さがアップしている。

だから,バイオリンの音で間違いない。

綺麗とか純粋とか…そういう言葉が似合いそうな音だった。

お母さんが迎えにきているんだから早く行かなきゃ。

そう,頭では考える事はできるけど…
心は従ってはくれない。

一度このメロディーを聞いてしまったら,もう聞かずにはいられない。

そう思わせるくらい,このメロディーには圧倒的な“何か”があった。