「えっ?何々?」

「プレゼント?」

首を傾げるクラスメートたちを一瞬見つめ、桜士がポンと優しく愛桜の肩に触れる。泣き出しそうな愛桜は桜士を見つめた。そして、心の中で自分に笑えと繰り返す。泣くのは最後の最後だ。

「ヴィーシニャ!!」

二人は同時に杖を取り出し、魔法を桜の木にかける。冬の桜の木は花はおろか葉っぱすらない。

二人の杖からピンク色の光線が飛び出し、桜の木をゆっくり包んでいく。優しい光が消えた後、友達たちは「わあ!!」と興奮した声を上げた。

冬のはずなのに、木には美しい桜の花が咲き誇っている。白い花びらが雪のように舞い、瞬きすら惜しいほどの美しさだ。

「みんな、魔法を受け入れてくれてありがとう!!あたしたちのこと、忘れないで……」

堪え切れず愛桜は泣きながら言う。友達は「忘れられるわけないでしょ!!」と泣きながら愛桜に抱き付いた。

真冬の桜が舞う中、愛桜たちは泣きながら別れを言い合った。