「ねぇ、律…
私って…魅力ないかな…」
暗闇の中
甲ちゃんの声が小さく響いた
先に甲ちゃんに言われた
「え…」
甲ちゃんの指先が震えた
「律が私の手触ってくれるから
毎日クリームつけてマッサージしたり
爪も磨いて整えて綺麗にしてた…
…
でも手だけじゃなくて…
髪だって顔だって…身体だって
律に見てほしくて
律に触れてほしくて
綺麗にしてるつもりだったのに…
…
律はいつも私の手で満たされてるのに…
私…」
「満たされてなんか…
オレだって、いろいろ考えて…」
甲ちゃん
きっと今、涙溜めてる…
「甲ちゃん…
こっち来て…」
オレは
にぎってた甲ちゃんの手を引っ張った



