筆箱を忘れた日があった
「先生、筆箱忘れたから、貸して!」
先生は自分のペンケースから
シャーペンと消しゴムを出してくれた
「赤ペンもいる?
1本しかないから、使うならまた言ってね」
赤ペンは別にいらなかったけど
「じゃあ、近くに座ってもいい?
すぐ借りれるから」
「うん」
オレは先生のすぐ前に
向き合って座った
国語のワークを開いた
「清田くんて、国語好きなの?」
先生に話しかけられて
少し嬉しかった
「なんで?」
「だって、国語だけいつも
クラストップだから…
他は、いまいちなのに…」
「いまいちって…
失礼じゃね?」
先生は少し笑った
「ホントだ…失礼だね
でも、そう思ってたから…
不思議だな…って」
「うん…なんでだろう…」
不思議でもなんでもなかった
国語は先生の担当教科で
授業中、先生のすべての話を聞いてたから



