それに美咲も 誰かと二人で 食事をしているかもしれない。


寂しいけれど 毎日 傍にいられないのだから。

仕方がないと 聡は思った。
 

「林さん 案外 ヤキモチ妬きだね。」

納得していない顔の啓子に 聡は笑って言う。
 

「みんな 本音はそうです。絶対。」

と啓子は 強く言った。

聡は 声を出して笑いながら 確かにそうだと 思っていた。
 

美咲に 結婚を申し込みながら 聡は 今の関係に 満足していた。

会いたい時に すぐ 会えないことは 寂しいけれど。


その代わり 会った時は いつも新鮮で 熱く燃え上がれる。
 


東京で 聡は エトランジェだから。


大胆に 美咲を抱き寄せて 歩く非日常は 一層 聡を昂らせ、満足させる。


美しい美咲と 都会で過ごす 特別な時間を 持つことだけで。
 


だから 聡が知らないところで 美咲が 何をしていても 聡は 何も言えない。


小さな不満を 超えたところで 結ばれているから。



そう思うことで 会った時に また満たされる。