《一般職だから。でも ホッとしたよ》

控えめに喜ぶ美咲に 聡は 会いたいと 言えなくなってしまう。
 

《美咲 どんどん 遠くに行っちゃうな》

聡は つい本音を 言ってしまう。
 

《そんなことないよ。これからバイト頑張って 卒業までに 少し広い部屋に 引っ越しするの》


美咲は 聡を 見下すような言葉は 言わない。


でも聡は やっぱり 美咲には 敵わないと思っていた。
 

《そのうち 東京に 行こうかな》

聡の言葉に
 
《おいでよ。引越し 手伝って》

と返信してきた美咲。


美咲にとって 聡は もう 特別な存在ではないと気付く。


美咲は いつも 前を向いている。
 

《そうしたら 抱かせてくれる?》
 
《それは どうかな。お蕎麦 ご馳走するよ》

という美咲。


甘く拒否されたのに 聡の心は 不思議と 温かくなっていた。



やっぱり美咲は 自分にとって 特別な存在だと 聡は 改めて思っていた。