「俺 毎日 林さんに会っていて。当たり前みたいに 一緒にいたけど。もし 林さんが 急に 俺の前から いなくなったらって考えて。あのバレンタインデーの後。そうしたら すごく怖くなって。どうしようって思ったんだ。これって 恋だよね。」
聡の言葉を聞いて 啓子は 両手で口を塞ぐ。
「信じられない。私なんか。」
押し寄せる波が 啓子の胸を 泡立たせ 涙が滲んでくる。
「林さん すごく綺麗になって。明るくなって いい女になったよ。もう 八年前の 林さんじゃないんだよ。」
聡は 温かく言う。
俯いた 啓子の目から 流れる涙が いく粒も スープに落ちた。



