その頃 啓子は 最近 よく聡と 目が合うと思っていた。


啓子が ふと顔を上げると 聡が 優しい笑顔を 向けている。

啓子は 小さく微笑んで 目を逸らす。


聡は 啓子と同じように 啓子を見ていたから。

でも啓子は その事に 気付かない。
 

《今日 一緒に食事したい。都合はどう》

昼休みに 聡から LINEが届いたのは 十二月。

啓子の 二十九才の 誕生日だった。
 
《大丈夫です》

と啓子が 返信すると、
 
《いつものコンビニでね》

と返ってきた。
 

何故 啓子は 誘われたのだろう。


聡を 思い続けていることを 迷惑だと 言われるのかもしれない。


それとも 聡は 新しい恋人が できたのかもしれない。



啓子の心は 負の想像で いっぱいだった。