あいつの悪役ヒロイン




やけにテンションの高い日高。

あたしに男を紹介するくらいで、こんなになる訳が無い。すぐにピンときた、

そうだ、今日は金曜日。


明日は愛しのハナちゃんと映画デートか。


心に余裕ができた人間って、

他人にまで世話焼きたがるんだって

どこかで聞いた気がする。


あたしが今まで彼氏がいなかった理由を考えもしないで

日高が理由だなんて思いもしないで

頼んでもない、見知らぬ男を紹介してくるなんて

お節介にも程がある。


「おい、聞いてんのお前?」


「余計」


「え?」




「余計なお世話!!」





椅子から思いっきり立ち上がって、
反動で椅子が床に叩き落ちる。


一斉に集まる視線。


驚く目の前の、あたしの好きな男。



何も分かってないみたいな顔で

あたしが怒ってる意味も知らないままで





あぁ、もうどうだっていい!





「あ、おい!!」





あたしは教室から飛び出した。