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「大丈夫だってしづ、あんたの方が脈アリだって」
「そうそう。たかが映画だよ映画」
下駄箱でローファーに履き替えていると、
壁をへだてたひとつ向こうでそんな声が聞こえた。
隣のクラスの女共。
映画?
あたしはすぐにピンと来た。
日高絡みだ、と
「たかがじゃないよぉ、絶対付き合っちゃうよ…」
「そんな事ないって。しづも今度ご飯食べに行くんでしょ?日高くんと」
ほらやっぱり、
と思わず声が出そうになって口を手で塞いだ。
…て、いうか、
アイツ
ハナちゃん以外の女とも約束入れてるのかよ。
「そうだけど…心配だよ、ハナちゃん、すごく可愛いし」
「しづの方が可愛いって!それに木下華って超ぶりっ子で女子からめっちゃ嫌われてるんだよ??
日高くんも早く気付けばいいのに」
「そ、そんなに言っちゃハナちゃん可哀想だよぉ」


