次の日ー。
お風呂から出た、あたしは、お風呂用具の片付けをして、楼主のところに行った。
「おはようございます。
かがりです。」
「おう。
かがりか。
入れ。」
「はい。」
「約束の五十文だ。」
「ありがとうございます。」
それから、若い衆のとこに行った。
「おはよう。
誰か起きてる?」
障子戸の前で、声をかけると、重松が出てきた。
重松は、六十歳くらいの人で、左頬にほくろがある人だった。
「かがりさん、どうしたんですかい?」
「桜祭りに行きたくて…。」
「なるほど。
では、他の奴に、頼みましょう。」
そこに、瀬尾が来た。
「わたしが行きましょう。」
「そうか。
頼んだ。」
重松は、そう言うと、奥に入っていった。
「じゃあ、行きましょうか。」
「うん。」
「混んでますから、迷子にならないように、肩車致します。
よろしいですか?」
「はい。」
あたしは、瀬尾に、肩車してもらった。
そして、通りに出た。
通りには、沢山の人が居た。
いつもは居ない、女、子どもまで居た。
「(わー…。)
(すごい人…。)」
「かがりさん、どこから見ますか?」
「まず、飴屋さん!」
「はい。」
瀬尾は、飴屋に連れてってくれた。
あたしは、十本入りのべっこう飴を買った。
「次は、どこに行きましょうか?」
「お面屋さん!」
「はい。」
「へい!
らっしゃい!!
どのお面にしやすか?」
あたしは、沢山ある、お面をじっくり見て決めた。
「一番上の右端にある、狐のお面!」
「これかい?」
あたしは、大きく頷いた。
「はいよっ!」
「おいくらですか?」
「四文になりやす。」
あたしは、巾着から、四文を渡した。
「まいどあり!!」
あたしは、お面を後ろに付け、飴を握りしめた。
「かがりさん、他には?」
その時、風車屋が通った。
あたしは、声をかけ、止まってもらった。
「へい!
どれにいたしやしょ?」
あたしは、悩んだ。
桜模様が多かったから。
「どれにしようかな〜…。
あっ、これにするー!!」
あたしが選んだのは、紫の和紙に、桜模様が、ついてる物だった。
「では、四文になりやす。」
あたしは、巾着の中から、四文を出した。
「まいどっ!!」
あたしは、飴と風車を右手をに持ち、色んな店が出てて、見て回っていた。
「お腹すいたぁ…。
おそば食べようよ。」
「はい。」
お蕎麦屋さんで、蕎麦を食べて、帰ることにした。
帰ってる、途中、通りの反対側から、同じ年くらいの男の子が見えた。
男の子も、肩車されていて、目線が同じくらいだった。
男の子は、私に気付き、すれ違う時、お互いに、にこっと笑って通り過ぎた。
あたしは、そのまま、見世に帰った。