「……青葉」
言葉よりも先に、拓斗の胸に顔を埋めていた。
拓斗の腰にまわした腕、拓斗の背中に触れている両手に力が入り、ギュッと拓斗を抱きしめる。
「ごめん、ごめんね」
拓斗を苦しめたのは、私だ。
下手な駆け引きなど、二人には必要なかったのに。
あの頃の私は、無意識に駆け引きしてたんだと思う。
拓斗を試していたんだと思う。
私が思っている以上に、拓斗が優しすぎて。
結局、拓斗に本心を言わせず、押し殺させて。
気持ちを封じさせてしまったのは、私だ。
「青葉?」
ならば、再会できた今。
今度は私が拓斗への気持ちを、素直に伝えなくちゃいけない……。
「私、後悔してたの。別れてからも拓斗のこと、ずっと想ってた。今でも、拓斗が好きで。忘れられなくて、会いたいと願ってた」
「それ、ホント?」
拓斗に顔を覗き込まれ、発した言葉に恥ずかしくなり、顔を見られないように下を向く。
気持ちを伝えてしまったら、それ以上何も言えなくなって。
コクコク、と無言で頷くことしかできない。
そんな私の頬を拓斗の両手が包み込み、ゆっくりと顔を上げるように誘導された。



