本当は戸惑いながらも、素直に再会できたことを喜べばいいのに。



「随分、都合のいいことを口にするようになったのね」



 なんて。
 可愛げなく強がってしまうのは、昔からの私の悪い癖。


 けれど、私のことをよく分かっている拓斗のことだ。
そんな強がりが通じるわけがない。



「青葉。相変わらず、嘘つくのヘタだね」



 拓斗に手を掴まれ、グイッと力強く引き寄せられた私は。
 簡単に拓斗の胸の中に居た。



「離して。拓斗、もう新しい人がいるんでしょ。私、誰かの次とか嫌なの……」

「…知ってる」

「知ってるなら、分かってるなら、どうしてこんなことっ」



 私の視線がどこに向けられているのかを拓斗は察したのだろう。
目の前で、指輪をしている手を広げてみせた。



「もしかして、さっきからコレ気にしてる?」

「……ペアリングでしょ」



 私の指摘に、拓斗は一瞬だけ視線を逸したから。
『あぁ、当たりか』と、嫌でも感じてしまう。


 けれど、口を開いた拓斗からは。
想像とは全く違う言葉が飛び出したのだ。



「ペアリングを小指にはしないだろ。これは願掛け。いつか青葉に会えますように……って」

「何それ。意味が分からない」



 そう答えた時。
 拓斗と付き合っていた頃のことを、ふと思い出してしまった。