私の部屋で 夕食を食べた後

純也は 珍しく 図面を広げる。


「新しいお客さん?どんな間取り?」

純也の隣に座って 図面を覗き込む。

「へぇ。いい間取りだね。動線もいいし。ここに 収納を付けたら?」


一般的な大きさだけど 使い勝手の良い間取り。

私の言葉に頷いて 純也は 図面に ペンで書きこむ。


「ここが寝室で こっちが子供部屋ね。お子さんは 2人なの?」

私は 2階を見て 純也に聞く。

「その予定なんだ。」

「へぇ。まだ お子さんいないの?どんなお客さん?私 担当されてもらえる?」

「うん。まりえに任せるよ。全部。俺達の家だから。」


純也の言葉に 私は驚いて 顔を上げる。


「私達の家…?」

「寿町に 親の土地が あるんだ。そこに合わせて 図面描いてみたの。まりえが 賛成してくれたら そこに建てようと思う。」

「いいの?」

「両親は そのつもりで 土地を買っておいたらしい。親父もお袋も まりえのこと すごく 気に入っているからね。」

私達は お互いの親に 挨拶を済ませていた。

まだ 具体的な話しは 何も決めてないけど。

来春には 入籍しようと 言っていた。


黙って 純也を見つめる私。

「気になる所ある?まりえの思うように 変えていいよ。」

「違うの。私 嬉しくて。夢みたい… だって ずっと1人で 生きていくって 思っていたの。」


「仕方ないでしょう。俺が まりえに夢中なんだから。」


「違う…違うって。私だって 純也に 夢中だもん……」

しゃくり上げながら 途切れ途切れに 私が言う。

純也は 私を抱きしめて 頭を撫でる。


「次の休みは 指輪を買いに行こうね。」


純也の胸で 頷く私。


街は すっかり クリスマスの色に なっていた。