「まりえ。起きて。すごい景色。」

昨夜の甘い余韻の中 純也の声で 目を開ける。

驚いて 体を起こすと 何も着てなくて。

「キャッ。」

と言って 毛布を引き上げて。


そんな私を 純也は 愛おし気に見つめて。

「もう。大丈夫だから。早くおいで。」

笑顔で 私を 抱き上げて。


だいたい 純也だって 全裸だから。


裸のまま 純也の腕の中 見た景色は 美しい朝靄。


「うわぁー。すごい……」

言葉を失って 私は 神秘的な景色に 見入る。

ここが 地上であることを 疑うほど。

天国に 迷い込んだと思うほど。


純也の腕に 抱かれたまま。

2人とも 全裸のまま。


私の中を 駆け巡る感情に 

どうしていいのか わからないまま。


純也は 一体いくつ 武器を持っているの?

こんな景色みたら 私の心の壁なんて

粉々に 砕けちゃうよ。


目を閉じても 心に残った景色が

私の感情を 揺さぶり続け。


涙が 溢れていることにも 気付かないまま。

しゃっくりのような 嗚咽が込み上げて。

私は 純也の首に 顔を伏せて 泣き出していた。