その時私の足元に一人の男子が通った。

私はその人を見つめる。

「あぁん?何見てんだ海斗君ぅ〜ん?まさか「やめてあげな」とか言わないよなぁ〜」

その男は成田海斗[ナリタカイト]

嬢薙さんの言葉で私から目を逸らし私の元を去っていった。

(男のくせに)

クラスのみんなは見て見ぬ振りをする偽善者。

この偽善者が。

この偽善者が!

この、偽善者が!!

「この、偽善者が!!!」

「あぁん?テメェ今何つった?偽善者?馬鹿みたいにほざいたこと言ってんじゃねえぇ、ぞぉ!!」

ガンっ!

「ッッ!!お”ぉ”え”ぇぇ!!ゴホッ!ゴホッ!はぁ、はぁ、」

鳩尾を突かれた私はその勢いと痛さで給食の時に食べた物を教室の床に吐いてしまった。

周りは見ているだけのお人形さん。

人の指示でしか動くことが出来ない馬鹿みたいな壊れた人形。

「なぁ、天月ぃ。お前何でこんなことになってるのか分かってるよなぁ。そんな目してるけどよぉ」

嬢薙さんは私の髪を強く掴んで床から私の顔を離した。

「ッッ.....!離し、て、、」

そう言った途端嬢薙の目が変わった。

嬢薙は私の頭を思いっきり床に殴りつけた。

ゴンっ!

「いッ....!」

教室に酷い音が響く。

「じゃあな、天月さん!また遊んであげるから逃げんなよ」

私は叩きつけられたジンジンする頭を押さえて痛みを耐えた。

嬢薙さん達はその場を去っていった。