愛里七ちゃんの話を聞いていると、

「X。」

そう、後ろの方で声がした。

「た、高野君。起きてたんですね!」

何となく、少人数でも無事と分かると無意識に安心する。

後ろの席に居るので姿は見えないが、私はシートベルトを外して、椅子に体重をかけ後ろを向いた。

椅子の上からひょこっと出てきた私に「どうしたの?」と愛里七ちゃんが言う。

「Xってどうゆうことですか?」

私がそう高野君に問うと、

「このバスの何処かにXが居るってことだよ。多分何処かにね、、」

高野君が言う。

このバスにXが居る?

でも、何処にも。

「私一応、バス内全て見たけどXは居なかった。でも、高野君の言うとうり多分Xはこのバスの何処かにいる。」

そう、愛里七ちゃんが言う。

バス内全て探していなかったのにこの中にXが居る?

頭が混乱してまだ完璧にはきれてないガスのせいか、頭痛がする。

どうゆうことだろうか、そもそも何故この2人はXがこのバスに居るって分かるのだろうか。

頭をフル回転させながら考えるが、全くわからない。

「寧々ちゃん、まるでどうして私達2人が『Xがこのバスに居るって分かるのだろうか。』的なこと考えてるでしょ!」

こ、心を読まれた?

恐るべし愛里七ちゃん。

「は、はい。恥ずかしながら私には、さっぱりでして」

そう言うと愛里七ちゃんが教えてくれた。

「さっきいた、あの白い箱。私は1番最初の箱の中にいた時、目覚めたら隣で高野君が寝ていたの。それから、1分ぐらいかな?時間が経つとモニターもないのにXの声が聞こえた。そして、Xがこの箱の管理者って言ってた。その途端、なかったはずの扉が現れたの。そして2個目の箱、皆んながいた箱よ、その時もさっきまでは無かったはずのテレビやヘッドフォン、1個目と同じように扉も現れた。そして、3個目の箱、急に閉じ込められ、でもそこにはXの姿は無くその途端にガスがはき出された。当たり前だけど、Xが責任者。この、接点を考えると必ずXは何処かで見てるはずなの。」

愛里七ちゃんたちの方の1個目の方の箱は1分ぐらい。。

私達の時は5分ぐらいでXの声が聞こえた。

もしかしたら、責任者はX1人ってこと?

てことは、愛里七ちゃんと高野君が言ってたとうりこのバスの中にやっぱりXが居るってこと?

「あれ、でも箱の時と同じようにモニターとか見えないモニターとかを使えばいいのでは?」

わざわざ、バスの中に居なくたってモニターや王道の監視カメラとかを使えばいいんでは。

「そうですよね、普通はそう思うと思います。でも、僕が思うに多分このゲームの責任者はXたった1人だけだと思うんです。それと、僕も1時間前からずっと起きてました。」

まさかの、高野君も1時間前から起きていた発言!

あれ?てことは?うん?あれ?!

頭がショートしそう。

じゃあ、高野君も、、、あれ?うん!?

本当に考えすぎて、そろそろ頭痛で頭がかち割れそうだった。

私が頭を使いすぎたせいかもしれないが、汐君起きた時頭が痛い的な感じのこと言ってなかったような。

もしかして、吸ったガスの量が少なかったのかもしれない。

心配になって汐君の方を見た。

(寝てる)

声にださなかっただけで痛かったのかもしれない。

汐君はいつのまにか眠っていた。

「ねぇ、さっきから全然喋んないけど起きてるんでしょ森永君」

愛里七ちゃんが言うけどやっぱり、寝かしておいた方がいいんじゃないだろうか。

ハンカチで口を押さえていた私すらまだ、頭痛がする。

寝てると意識はとうのいて痛みが感じなくなるから、本当は私も寝ていたいんだけど、、

だから、汐君の気持ちもわかるので私は止めようとした。

その時愛里七ちゃんがありえない言葉を発した。

「いや、森永君と言うよりは“X”って言ったほうが起きる?」

え、

「ちょっ、なに言ってるんですか?愛里七ちゃん。Xって、汐君が?」

ありえない言葉を発する愛里七ちゃんにびっくりして、早口になってしまった。

それと、そろそろやばい。

「寧々ちゃん、私は寧々ちゃんが起きて汐君を、起こしてる時から疑問を抱いた。この子、起きたのはいいけど痛いや、ここどこ?的な言葉を何も言わない。流石にこの真面目高野君ですら、目を覚ました時頭が痛すぎて苦しんでいたわ、痛みが治っても混乱ばかり、私もそうだった。なのに、この子。。私達の話に言葉を合わせてきてくれた。『無人バスですね』って、おかしいとしか言えないでしょ。」

確かに、そうだがでも。。。

「フフッ!バレちゃったか〜やっぱり変装は無理か!いやぁ〜このゲームかなり頭を使うから高野君が勝利すると思ってたけどまさかの愛里七ちゃんも優勝候補か〜。なんか悔しいな〜」

変装?

てことは本物の汐君は?

「え、じゃあ本物の汐君はどこに居るんで、、す、か、、、」

あれ、やばい。

頭がクラクラしてき、、た。。

バタン。

「ありゃ?」

私はまた、目蓋が鉛のように重くなって、また夢の世界へと入っていってしまった。

薄らと愛里七ちゃんの声が聞こえる。

私を心配するような声が、薄らと。