「あのね...」 樹理の声から力が抜ける感じがした。 呆れたとでも言いたいんだろう。 「仕方ないでしょ。どうせ付き合うなら、最高の人と付き合いたいの」 一度きりしかない”初彼氏”、妥協なんて絶対にありえない。 「でもさ、ここ日本よ?」 「だから?」 私は相変わらず課題のプリントに目を通しながら答える。 「そんなに英国紳士がいいなら、イギリス行けって話じゃないの?」