声のする方を振り返ってみると、そこにスーツを着た男の人が一人、こちらの様子を伺いながら立っていた。 「...あ、大」 ”大丈夫です” そう言いかけたけど、その男の人の顔を見た瞬間、出かかった言葉が一気に全部どこかへ飛んで行った。 「...」 私はただ驚くばかりで、ただその人を見ていることしかできなかった。 一瞬、本当に一瞬だけ、息が止まったかと思った。