特に他の異変はなく、再検査に行けと言われてから2週間後の朝、身体が暑くて目が覚める。寝衣が少し湿っている感じがする。身体が怠い。何時だろうと時計を見るとまだ4時。着替える訳にもいかず、何度も寝返りを打ちながら朝起きる時間まで布団の中にいる。

5時になり、館長が帰ってきたのか車の音が外で聴こえる。バタンという車のドアが閉まる音と同時に車が出ていく。またタクシーで帰ってきたのだろう。

私も部屋からそっと出て、館長を出迎える。これが習慣化したのはいつからだったか。気づいたらこうなっていた。最初の頃は優しかった館長からは想像できず、抵抗したが、その度にお腹や背中など他の人から見えない位置を殴られたり、酷い時はタバコを押し付けられる。抵抗を諦めたのもすぐだったと思う。大人の男の力に勝てるわけが無いのだから。

ズンズンと進む館長の後ろを黙って着いていく。部屋に押し入れられ、ベッドに倒される。こういう時は、ぼーっとしているからか、第三者にでもなったんじゃないかって感じるくらい、他人事のように外から自分と館長の行為を眺めてるような感覚がある。終わったあとはまた、トイレに籠る。ふーっと息を吐く。ドクドクと心臓が早い気がする。深呼吸を何回かしていたら治った。