『今日が約束の日だね』
任命式の最中、
その声は聞こえた。
しかし、天使の姿はどこにもない。
私の周りにいるのは、
私を讃える人々だけ。
『まさか、忘れていないよね』
囁き声が耳元に聞こえた。
後ろを振り返ったが、
そこに天使の姿はない。
身体に、戦慄が走る。
私はあの日、
この日のために、
天使に魂を捧げた。
それが一体どういうことなのか、
何を意味しているのか、
10年もの時を経て、
その時、気付いたのだった。
心臓の鼓動が速くなる。
魂?魂をとられたらどうなる?
私は、私のままでいられるのか?
そんな根拠はどこにある?
そうこうしているうちに任命式は終わり、
私は部屋へ戻った。
大将軍という勲章を貰ったことよりも、
あの天使に自分の魂を捧げたら
自分はどうなってしまうのか、
気が気でならなかった。

