教室に戻ったわたしを、真っ先に絵里が出迎えた。

「ちょっと大丈夫? 由奈。風邪、ぶり返したんじゃない?」

「え? なんで?」

「真っ赤だもん」

 思わず、自分の頬に手を当てた。
 驚くほど熱い。

「ちがうの、これは……」

「じゃあ、あいつに何かおかしなこと言われたの? あとで叱っとくから教えて?」

「絵里……」

 ぐるっと教室を見回して、颯ちゃんの姿がないことを確認すると、わたしは、

「颯太のこと好きなんでしょ、って、言われた」

 と、ありのままを絵里に伝えた。

 絵里の大きな瞳が、いっそう大きく、丸くなる。

「ちょ、直球……」

「だよね。ストレートすぎるよね」

 わたしは絵里の肩に、こつんと、自分の頭をもたげた。

「でも、それぐらいはっきり言われないと、気づかなかったみたい。……わたし」

「由奈。それって……」