6時間目が終わるころに、とうとう雨が降り出した。

 ぱらぱらとまばらに窓を叩いていた雨はあっという間に勢いを増して、放課後には土砂降りになってしまった。

「映画デート、無理かも」

 絵里はしょんぼりしている。

「陸上部のミーティングが終わるころには、雨もましになってるんじゃない?」
「そうかなあ」
「わたし、一緒に待ってようか」

 わたしも、せめてもう少し雨が落ち着いてから帰りたいし。
 この状況の中歩いて帰ったら、たとえ傘をさしていてもずぶ濡れになってしまう。

 そういうわけで、絵里とふたり、放課後の教室で森下くんを待つことになった。

 雨のせいで、電灯をつけていても、教室はどこか薄暗い。

 激しい雨の降る中、まるで檻の中に閉じ込められたみたい。

 ミーティングは部室じゃなくて空き教室で行われるらしくて、終わり次第、森下くんはこの教室に戻ってくることになっていた。

 しばらくすると雨の激しさはピークを過ぎ、雨音は次第に小さくなっていって、森下くんが来るころには、しとしとと小降りになっていた。

「お待たせ。雨だいぶ止んだな」

 教室に現われた森下くんはにかっと笑う。

「やっぱおれ、晴れ男だからな」

「今たまたま小降りになってるだけで、晴れたわけじゃねーし。なんでも自分の手柄にするなよ」

 一緒に教室まで来た颯ちゃんが、あきれ顔で森下くんにつっこむ。

「まだ曇ってるし、また雨が激しくなるかもしれないから、今のうちに帰ろう」

 颯ちゃんの言う通り、窓の外の空はまだ雲に覆われて暗い。

 4人、急いで教室を出る。