「よしよし。そんな、泣きそうな顔するんじゃないよ? 大丈夫、由奈は可愛いんだから」
 絵里はわたしの頭を撫でた。
「でも、あたしも恋愛方面てんで疎いからなー。どうすればいいのかなー」
 絵里は首をひねってむずかしい顔をしている。

 ごめん。悩ませてしまってごめんなさい。

 しゅんと肩をすぼませて、もそもそとお弁当を食べていると、後ろから、ぽんと肩を叩かれた。

「由奈、これ集めてたよな? 応募シール」

 颯ちゃん!

「あ。う、うん。ありがとう」
 菓子パンについていた、わたしの好きなゆるキャラのトートバッグプレゼントの、応募シール。わたしが集めていることを知っていて、わざわざ渡しに来てくれたんだ。
 うれしいんだけど、さっきまで恋バナしてたから、なんだか恥ずかしい。

「どした? 由奈、カオ赤いけど」
「えっ。そ、そんなことは」
 あるかもしれない。
 声がうわずってしまう。

 恋バナしてただけじゃなく、わたしの好きなひとが、よりにもよって颯ちゃんの親友の森下くんだなんて。
 颯ちゃんに知られたら、わたし、わたし……。

 ……ん?
 颯ちゃんの親友の森下くん。親友、の……。

「おーい。どうしたの由奈? いきなりフリーズしちゃって」
 絵里がわたしの目の前で手のひらをひらひらと動かした。

 絵里。わたし、思いついちゃったよ。

「颯ちゃんに、協力を頼めばいいんだ……」

 つぶやいたわたしに、颯ちゃんと絵里が、そろって首をかしげた。
「協力……?」