「颯ちゃん。わたし、がんばったんだよ」

 にこっと、笑顔を浮かべてみせる。

「めちゃくちゃがんばった」

 絵里を川原さんたちから守った。仲直りの手紙を渡した。

「明日からもがんばる。笑顔で、あのふたりを見守る」

 颯ちゃんが立ち上がった。
 反動でブランコが揺れて、きい、と軋む音がした。

「由奈」
「うん」
「偉かったな」
 大きな手を、ぽふんとわたしの頭の上にのっけて。
 そのまま、ゆっくりと撫でた。

「なによ、もう。ちっちゃい子扱いしないでよ」
「してねーよ」
「してるし。颯ちゃん、いつもそうだもん」

 颯ちゃんを見上げて、軽くにらみつけようとしたら。
 いきなり、ほろりと、涙がこぼれた。

「……え? あ。あれ?」

 はらはらと、涙は流れて、落ちる。

「な、なんで? わたし、壊れた?」