すると颯ちゃんは、くすっと笑った。

「ちょうどおれも、ハラ減ってたんだよ」

 ふたりで、近くのコンビニに寄って、スイーツを買った。
 わたしはドーナツ、颯ちゃんはロールケーキ。

 通学路をそれて脇道に入り、小さな児童公園に寄った。
 小学校の学区内にあるこの公園も、河川敷と同じように、わたしと颯ちゃんのかつての遊び場だった。

 公園のぐるりに植えられた桜の木々は、みずみずしく葉を生い茂らせ、いたるところに影をつくっていた。
 いつもだったら小学生たちが遊んでいるのだけど、もう夕方だからか、わたしたち以外だれもいなかった。

「うわっ。ブランコ、ちっさ」

 颯ちゃんは、窮屈そうにブランコに腰掛けた。長い足が余っている。

「わたしは、まだちょうどいい」

 颯ちゃんの隣のブランコに腰掛けたわたしは、ゆっくりとひと漕ぎすると、ドーナツの袋を開けた。