どうして、君のことばかり。

 でも、今のわたし、作業しやすいようにジャージの上下だし、紫外線を完全ガードするためにキャディさんのようなつば広の帽子をかぶっているし、軍手をはめた手にはスコップを握りしめている。もはや女子高生とは思えない恰好だ。

 そんなわたしのすべてがおかしくて、ツボにはまっちゃったのかも。
 
 森下くんには絶対に見せられない姿だよ。

「由奈はせっせとガーデニングにいそしんでたんだな」

「そうだよ。見ればわかるでしょ?」
 じとっと、颯ちゃんをにらんだ。
 遠回しに、変な恰好って言ってるよね?
 
「うん。庭が華やかになってる。いつも思うけど、由奈、センスあるよな? 植物の組み合わせ方とか、そういうの」

「えっ」

「由奈ちゃんちのお庭はすてきね、って、うちの母さんもよく言ってるよ。由奈が花の世話してるって言ったら、すごいって褒めてた。うちの庭も頼もうかしら、だってさ」

 セ、センス? 颯ちゃんママが? 寄せ植えの仕方とか、そういうことをほめられてるの、かな? 

「あ、ありがと……」

 なんだかよくわからないけど、そんなこと言われると思ってなかったから、ちょっと決まり悪いというか、恥ずかしいというか。

 それに、颯ちゃんママこそセンスの塊で、いつ見てもファッション誌から飛び出してきたようなおしゃれな恰好をしている。なにげないシンプルな普段着でも、すごく品があるんだ。

 颯ちゃんちはパパもすらりと背が高くて格好いい。仕事が忙しいのか、隣に住んでいるのに、たまにしか姿を見かけないけど。
 そういえば、颯ちゃんが以前、親父は出張が多くてあまり帰ってこないんだよとこぼしてたっけ。

 それはさておき。颯ちゃんのご両親は、まさにドラマに出て来そうな美男美女の夫婦なのだ。
 そりゃ、そんなふたりの間に生まれた颯ちゃんも格好よく育つよね。