絵里の目から見た、「親友の、好きなひと」の印象。

 しばらくしてから返信がきた。

 “楽しい奴だけど、やっぱチャラいかなーって印象。女子に慣れてるっていうか、優しいとは思うけど、みんなに平等に優しいんだろうねって感じ”

 絵里ってば、結構容赦ない。わたしは思わずふき出した。

 “ま、あたしに対してはそんなに優しくないけど。ずうずうしいし、結構むかつく”

 絵里の毒舌は続く。
 わたしはつい、

“颯ちゃんは、チャラくないって言ってたじゃん”

 “優しくないより優しいほうがいいよ”

 “もてるけど、恋愛面ではわたしと同じぐらい奥手だって、颯ちゃん言ってた”

 と、連続で森下くんをかばうようなメッセージを送ってしまった。

 それに対して、絵里は、

 “恋は盲目だねえ~”

 って、からかうみたいなリアクション! 

 もう、絵里ってば。スマホ画面を見ながら「いしし」と笑ってる絵里の顔、目に浮かぶよ。

 でも、良かった。

 森下くんの気持ちはわからないけど、少なくとも絵里のほうは、森下くんのこと、なんとも思ってないみたい。それどころか、悪口まで言ってるし。

 ちょっぴり復活。
 わたしはぴょこんと身を起こした。
 いいかげん、着替えなくちゃ。

 クローゼットを開くけど、ぱっとしない地味で無難な服ばかり。
 もっとかわいい洋服、欲しいなあ。こんど、絵里と一緒に街に買いに行きたいな。

 絵里は、似合うものは似合う、似合わないものは似合わないって正直にずばっと言ってくれるから、わたしはかなり信用してる。絵里が似合うって言ってくれる服なら、ふだんのわたしが着たことのないテイストのものでも、冒険できる気がするんだ。

 もっと明るく、可愛くなりたい。

 自信がほしい。
 森下くんと、もっと近づくために。
 絵里みたいに、気さくに話しかけたり話しかけられたりしたいよ。

 がんばらなくちゃ。