颯ちゃんだって同じだ。わたしのことを、きっと、手がかかる妹みたいだと思ってるだろうけど、それ以上でも以下でもない。

 わたしたちの、この、居心地のいい関係は、ずっと、ずーっと、変わらないんだ。

「ふうん? ほんとに?」

 森下くんはわずかに首をかしげた。

「じゃあさ、由奈ちゃんは、もしも颯太に彼女ができたらどうするの?」

「え?」

 颯ちゃんに、彼女?

「彼女がやきもち焼いて、颯太に、わたし以外の女の子とは仲良くしないでー、とか言うかもよ?」

「そんなこと……」

 考えたこと、なかった。

「ちょっと森下。もうやめなよ」

 絵里が森下くんを小突く。

「由奈にそんなこと聞いてどーすんの? いいじゃん、ふたりは仲のいい幼なじみなんだから、それで」

「吉井の言う通り。もしおれに彼女ができても、由奈は今のまま、変わんねーよ」

 颯ちゃんは、さらりとそう言って、残りのアイスクリームを食べた。

「うまいな。おれ、この店気に入った」
 にかっと、颯ちゃんは笑う。


 どうして? 胸の中が、ざらっとしている。

 気を取り直して、アイスを食べようとしたけど。

 わたしのアイスは、もう、どろどろに溶けてしまっていた……。