どうして、君のことばかり。

 手の甲が、颯ちゃんの手に触れる。そのまま、わたしは颯ちゃんの指を、そっと握った。

「ずっと颯ちゃんの手を、離さないから」

 夜空には、美しい花が咲いて、すぐにはじけて、散っていく。
 そしてまた打ちあがって、咲く。

 花火は一瞬の美しさを残してはかなく散っていくけど、わたしの恋は、けっして散らない。


「好き」


 つぶやいたわたしの髪を、颯ちゃんの手が、そっと、いつくしむように撫でた。

 どきどきと鼓動は高鳴って。

 わたしを見つめる颯ちゃんの瞳に、吸い寄せられて。

 目をそらせない。

 夜空に散った火花がきらきらと流れ落ちていくけど。

 わたしは花火じゃなくて、颯ちゃんを見つめていた。


「由奈のそばにいたい」

「……うん」

「由奈のこと、離したくない」


 わたしの髪を撫でていたその手が、ゆっくりと降りてきて、わたしの耳に触れる。


「目、閉じて」

「……ん」

 きゅっと、目を閉じる。