どうして、君のことばかり。

 光より少しだけ遅れて、どん、と、おなかの底に響く音が空をふるわせる。

 次々に花火はあがった。

「きれいだな」

「……うん」

「今年は、由奈と一緒にこの花火を見ることができて、本当にうれしい」

「うん。……夢みたい」

 隣に居る颯ちゃんの横顔が、光に照らされている。

 颯ちゃんのことを、ずっと、「たんなる幼なじみ」で、それ以上の存在じゃないと思い込んでいた。

 ほかの男の子のことを好きになって、そしてその恋は散ってしまって。泣いているわたしをずっと包み込んでくれていたのは、颯ちゃんで。

 いつだって、当たり前みたいにそばにいてくれた颯ちゃんが、人知れず家族のことで悩んで、苦しみを抱え続けてきたんだと知った時。

 誰よりも大切な人なんだってことに、やっと気がついた。

「わたし……ずっと」

 花火の打ちあがる音が、絶え間なく響いている。

「ずっと」